2021年04月05日
次期市長選に出馬される方へ望むこと⑦
今回からは、SDGsの17のゴールの視点から、新城市の政策のポイントを提案してみたいと思います。
立候補予定者(以下、予定者)にも参考にして頂くことを望みます。
SDGsの17のゴールから、
「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」、「3.すべての人に健康と福祉を」、
「4.質の高い教育をみんなに」、「6.安全な水とトイレを世界中に」、
「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「8.働きがいも経済成長も」
「9.産業と技術革新の基礎をつくろう」、「11.住み続けられるまちづくりを」、
「12.つくる責任、使う責任」、「13.気候変動に具体的な対策を」、
「14.海の豊かさを守ろう」、「15.陸の豊かさも守ろう」
「16.平和と公正を世界の人へ」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」
などほとんどのゴールと共通する産業が新城市にあります。
その産業が農林業です。これだけの世界的ゴールと新城市の農林業のゴールが一致していると考えています。以下の「赤字」にSDGsのゴールを示します。
地域に密着した農林業を大きな視点から考えることで、グローバル経済から無視されてきた小さな経済こそ必要という認識が広がってきています。「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」につながります。
グローバル経済は、世界的に大きな格差を生み出し、豊かな世界と貧困な世界を作り出しました。さらに、後戻りできないほどの地球環境悪化をもたらしています。
さすがに、このままでは次世代に責任を果たせないと考える人が増え、SDGsが約束されたと考えています。
新城市の農業政策は、あまりにも視野が狭く、今が良ければ(今も良くないことがはっきりしているのですが)何とかなるという放任政策だったと言っても言い過ぎではないでしょう。
計画では、農林業を新城市の成長産業にとか、森林総合産業の創出とか、強調してきましたが、実態はほとんど進んでいません。
職員は、各種補助金を探し、新城市に適用の方向を一生懸命検討してきたとは思います。
しかし、補助金では現状維持もできません。補助金は、現時点で優秀な(?)官僚が、机上で考えた政策でしかありません。
新城市の衰退を止めるのは、全国にも成功事例がないような、自らの政策づくり、実行しかないと考えています。
最大の責任は、穂積市長にあります。具体的な政策提案がなかったということです。
農業政策と林業政策に分けて提案してみます。
まずは、農業政策からです。
マニフェスト検証から、施設園芸農家が増えていることが示されました。この状況は、国の支援が手厚くあって成り立つものです。
国の支援を活用しながら、地域農業を支えることは大切ですが、施設園芸だけでは、集落の維持はできませんし、農業が新城市の基幹産業にもなりません。
地域には、集落を維持してきたたくさんの農家の存在がありました。施設園芸農家、大規模農家だけでは集落を維持する労力が足りません。
地域農業を守り、集落を維持しながら、農業の後継者を育てることが必要です。そうすることが「11.住み続けられるまちづくり」になります。
農業は食べる物を作ります。人間の体を健康に維持するための原点の産業です。野菜作りは、高齢者、障害者の仕事場にもなり、精神的な豊かさをもたらしてくれます。「3.すべての人に健康と福祉を」、「8.働きがいも経済成長も」につながります。
子どもの教育の場になります。子どもたちは、授業でも実際に野菜を育て、地域の農家に話を聞く体験をしています。
その中で、命の大切さ、食べることの大切さを学び、農業が地域を守ってくれていることを意識し、地域を理解しています。「4.質の高い教育をみんなに」につながります。
農業は自然に手を加える産業です。自然と経済のバランスを考えることが必要になっています。経済が優先されると、世界で問題になっている農地拡大のための森林伐採が、自然を大きく変えています。
ブラジルではアマゾン川流域の熱帯雨林を相当なスピードで伐採を続け、農地などを拡大しています。この影響が、森林が持つ二酸化炭素吸収に大きな影響を及ぼしています。
持続可能な開発を目指すのが、SDGsの目標です。世界的な視野に立って、農業を考えることは、「4.質の高い教育をみんなに」「13.気候変動に具体的な対策を」にも役に立つでしょう。
慣行農法は、技術的に定式化されています。野菜の育て方、化成肥料の使用方法、害虫(人間が勝手に害虫と決めた)が発生すればその害虫に対応した農薬などが指導されています。
化成肥料の使用が、土中の微生物の生存環境を壊しています。「15.陸の豊かさを守ろう」に逆行することになります。
また、毎年毎年投入され、土中に残る化成肥料は、雨で地中内に浸透し、地下水を汚染し、その地下水が川に流れ、海に流れ、海の富栄養化を招き、赤潮などの発生の要因となっています。
市民は、川の水、地下水を浄化して水道水として使用していますが、農薬、化成肥料などを完全に取り除けているわけではありません。体への蓄積を無視していいとは考えていません。「6.安全な水」「14.海の豊かさを守ろう」につながります。
農薬は、生態系に直接、影響を与えています。使用基準があるといえども、残留農薬は皆無ではありません。残留農薬、それも多種多様な農薬使用で生産された野菜の食べ合わせが、人間にも影響を与えていると考えています。
様々な団体から、農薬が、アレルギー、学習障害児の発生、認知症の発生などに影響しているという報告も出ています。心配の可能性のあるものは、できるだけ排除すべきなのではないでしょうか。「3.すべての人に健康と福祉を」につながります。
また、慣行栽培で不可欠の化成肥料は、主要成分(カリウム、リン)を海外に頼るしかなく、その運搬に多くの化石燃料を使うことになります。「13.気候変動に具体的な対策を」に逆行してしまいます。
大規模農業も、大型機械の多用で、化石燃料の使用が多くなり、「13.気候変動に具体的な対策を」に逆行してしまいます。その点、小規模の地域農業の果たす地産地消を進めることは、世界的にも貢献することになります。
農業が自然と経済のバランスを考えるとはどういうことか?持続可能な農業とは?
以上の問題点を解決するために、化成肥料・農薬を使わない、有機農業、自然栽培(土づくりを基本に肥料も施さない)を中心とした農業政策が必要だと考えています。
現在、新城市においても、有機農業推進法(H18年に策定)に基づき、環境保全型農業(農薬、化成肥料を使用しない)に取り組む農家(十数戸しかいません)に交付金(12000円/反、条件により上乗せあり)が支給されています。
国としても、
「農業・農村は、国⼟保全、⽔源かん養、⾃然環境保全、景観形成等の多⾯的機能を有しており、その利益は広く国⺠全体が 享受しているが、近年、農村地域の⾼齢化、⼈⼝減少等により、地域の共同活動等によって⽀えられている多⾯的機能の 発揮に⽀障が⽣じる状況」を改善するために、有機農業面積を拡大しようとしています。
最新のデータ(2018年)によると、日本の有機農業作付面積は、世界96位となっています。おそらく、今後、有機農業はさらに推進されてくると思います。
そのためには、有機農業技術の向上・確立、生産量の拡大が求められます。それが実現できれば、農業が成長産業として若者に選ばれる産業になるでしょう。「9.産業と技術革新の基礎をつくろう」につながります。
また、有機農業は、確立された農法と言えず、学ぶ場が必要でもあります。新城市には有教館高校があり、専門系過程で農業を学びます。
これまでは、新城高校で多くの子どもたちが農業を学んできましたが、残念ながら学んだ内容を活かすことが十分できていません。
有機農業を学び、地域農業の後継者に育っていけるような仕組みを、有教館高校で実現して欲しいと思います。「4.質の高い教育をみんなに」につながります。
以前から、僕が注目しているのが、石川県羽咋市の取組です。
行政と農協が協力して、「自然栽培のまち」をめざしています。新城市でも、「有機農業のまち」「自然栽培のまち」を全国に向けて発信すれば、志を持つ若者を引き付けることができると考えます。
予定者の方に、農業によるまちづくりの可能性を開いてほしいと思います。
林業政策については次回に回します。
立候補予定者(以下、予定者)にも参考にして頂くことを望みます。
SDGsの17のゴールから、
「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」、「3.すべての人に健康と福祉を」、
「4.質の高い教育をみんなに」、「6.安全な水とトイレを世界中に」、
「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「8.働きがいも経済成長も」
「9.産業と技術革新の基礎をつくろう」、「11.住み続けられるまちづくりを」、
「12.つくる責任、使う責任」、「13.気候変動に具体的な対策を」、
「14.海の豊かさを守ろう」、「15.陸の豊かさも守ろう」
「16.平和と公正を世界の人へ」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」
などほとんどのゴールと共通する産業が新城市にあります。
その産業が農林業です。これだけの世界的ゴールと新城市の農林業のゴールが一致していると考えています。以下の「赤字」にSDGsのゴールを示します。
地域に密着した農林業を大きな視点から考えることで、グローバル経済から無視されてきた小さな経済こそ必要という認識が広がってきています。「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」につながります。
グローバル経済は、世界的に大きな格差を生み出し、豊かな世界と貧困な世界を作り出しました。さらに、後戻りできないほどの地球環境悪化をもたらしています。
さすがに、このままでは次世代に責任を果たせないと考える人が増え、SDGsが約束されたと考えています。
新城市の農業政策は、あまりにも視野が狭く、今が良ければ(今も良くないことがはっきりしているのですが)何とかなるという放任政策だったと言っても言い過ぎではないでしょう。
計画では、農林業を新城市の成長産業にとか、森林総合産業の創出とか、強調してきましたが、実態はほとんど進んでいません。
職員は、各種補助金を探し、新城市に適用の方向を一生懸命検討してきたとは思います。
しかし、補助金では現状維持もできません。補助金は、現時点で優秀な(?)官僚が、机上で考えた政策でしかありません。
新城市の衰退を止めるのは、全国にも成功事例がないような、自らの政策づくり、実行しかないと考えています。
最大の責任は、穂積市長にあります。具体的な政策提案がなかったということです。
農業政策と林業政策に分けて提案してみます。
まずは、農業政策からです。
マニフェスト検証から、施設園芸農家が増えていることが示されました。この状況は、国の支援が手厚くあって成り立つものです。
国の支援を活用しながら、地域農業を支えることは大切ですが、施設園芸だけでは、集落の維持はできませんし、農業が新城市の基幹産業にもなりません。
地域には、集落を維持してきたたくさんの農家の存在がありました。施設園芸農家、大規模農家だけでは集落を維持する労力が足りません。
地域農業を守り、集落を維持しながら、農業の後継者を育てることが必要です。そうすることが「11.住み続けられるまちづくり」になります。
農業は食べる物を作ります。人間の体を健康に維持するための原点の産業です。野菜作りは、高齢者、障害者の仕事場にもなり、精神的な豊かさをもたらしてくれます。「3.すべての人に健康と福祉を」、「8.働きがいも経済成長も」につながります。
子どもの教育の場になります。子どもたちは、授業でも実際に野菜を育て、地域の農家に話を聞く体験をしています。
その中で、命の大切さ、食べることの大切さを学び、農業が地域を守ってくれていることを意識し、地域を理解しています。「4.質の高い教育をみんなに」につながります。
農業は自然に手を加える産業です。自然と経済のバランスを考えることが必要になっています。経済が優先されると、世界で問題になっている農地拡大のための森林伐採が、自然を大きく変えています。
ブラジルではアマゾン川流域の熱帯雨林を相当なスピードで伐採を続け、農地などを拡大しています。この影響が、森林が持つ二酸化炭素吸収に大きな影響を及ぼしています。
持続可能な開発を目指すのが、SDGsの目標です。世界的な視野に立って、農業を考えることは、「4.質の高い教育をみんなに」「13.気候変動に具体的な対策を」にも役に立つでしょう。
慣行農法は、技術的に定式化されています。野菜の育て方、化成肥料の使用方法、害虫(人間が勝手に害虫と決めた)が発生すればその害虫に対応した農薬などが指導されています。
化成肥料の使用が、土中の微生物の生存環境を壊しています。「15.陸の豊かさを守ろう」に逆行することになります。
また、毎年毎年投入され、土中に残る化成肥料は、雨で地中内に浸透し、地下水を汚染し、その地下水が川に流れ、海に流れ、海の富栄養化を招き、赤潮などの発生の要因となっています。
市民は、川の水、地下水を浄化して水道水として使用していますが、農薬、化成肥料などを完全に取り除けているわけではありません。体への蓄積を無視していいとは考えていません。「6.安全な水」「14.海の豊かさを守ろう」につながります。
農薬は、生態系に直接、影響を与えています。使用基準があるといえども、残留農薬は皆無ではありません。残留農薬、それも多種多様な農薬使用で生産された野菜の食べ合わせが、人間にも影響を与えていると考えています。
様々な団体から、農薬が、アレルギー、学習障害児の発生、認知症の発生などに影響しているという報告も出ています。心配の可能性のあるものは、できるだけ排除すべきなのではないでしょうか。「3.すべての人に健康と福祉を」につながります。
また、慣行栽培で不可欠の化成肥料は、主要成分(カリウム、リン)を海外に頼るしかなく、その運搬に多くの化石燃料を使うことになります。「13.気候変動に具体的な対策を」に逆行してしまいます。
大規模農業も、大型機械の多用で、化石燃料の使用が多くなり、「13.気候変動に具体的な対策を」に逆行してしまいます。その点、小規模の地域農業の果たす地産地消を進めることは、世界的にも貢献することになります。
農業が自然と経済のバランスを考えるとはどういうことか?持続可能な農業とは?
以上の問題点を解決するために、化成肥料・農薬を使わない、有機農業、自然栽培(土づくりを基本に肥料も施さない)を中心とした農業政策が必要だと考えています。
現在、新城市においても、有機農業推進法(H18年に策定)に基づき、環境保全型農業(農薬、化成肥料を使用しない)に取り組む農家(十数戸しかいません)に交付金(12000円/反、条件により上乗せあり)が支給されています。
国としても、
「農業・農村は、国⼟保全、⽔源かん養、⾃然環境保全、景観形成等の多⾯的機能を有しており、その利益は広く国⺠全体が 享受しているが、近年、農村地域の⾼齢化、⼈⼝減少等により、地域の共同活動等によって⽀えられている多⾯的機能の 発揮に⽀障が⽣じる状況」を改善するために、有機農業面積を拡大しようとしています。
最新のデータ(2018年)によると、日本の有機農業作付面積は、世界96位となっています。おそらく、今後、有機農業はさらに推進されてくると思います。
そのためには、有機農業技術の向上・確立、生産量の拡大が求められます。それが実現できれば、農業が成長産業として若者に選ばれる産業になるでしょう。「9.産業と技術革新の基礎をつくろう」につながります。
また、有機農業は、確立された農法と言えず、学ぶ場が必要でもあります。新城市には有教館高校があり、専門系過程で農業を学びます。
これまでは、新城高校で多くの子どもたちが農業を学んできましたが、残念ながら学んだ内容を活かすことが十分できていません。
有機農業を学び、地域農業の後継者に育っていけるような仕組みを、有教館高校で実現して欲しいと思います。「4.質の高い教育をみんなに」につながります。
以前から、僕が注目しているのが、石川県羽咋市の取組です。
行政と農協が協力して、「自然栽培のまち」をめざしています。新城市でも、「有機農業のまち」「自然栽培のまち」を全国に向けて発信すれば、志を持つ若者を引き付けることができると考えます。
予定者の方に、農業によるまちづくりの可能性を開いてほしいと思います。
林業政策については次回に回します。
Posted by みちひろ at 06:22│Comments(0)
│次期市長選に出馬される方に望むこと