2022年11月29日

すべての権限は、市長・議会のものである

今年の3月に、市民自治会議に、以下の思い(赤字)で要望書を提出しています。

「市民自治会議のみなさんに、自治基本条例違反の有無を検証し、違反が確認されれば、市長、議会に是正を求めて頂きたいと考え、本要望書を作成いたしました」

「共同調理場建設事業(給食センター建設事業のことです)は、進行中の事業であり、もしこのまま進行してしまえば、多くの市民には関係ない、単なる箱物施設になってしまうことに危惧しています。

子どもたちの健全な成長を願い、市民が支え合う施設としてより市民に身近な施設とするために、自治基本条例の通り、市民への情報提供を真摯に実行していただけるように、少しでも早い検証をお願いいたします」


要望書は、現在進行中の給食センター建設事業に関してのものです。

要望書は、建設事業予算が議決する前に結論を要望しています。

要望書は、提出後約一年間が経ちます。心配していた予算案が12月議会に出されます。

心配して、市民自治推進課に行ってきました。担当課からは以下のように言われました。

「要望書なので回答しない。自治市民会議で議論しているし、結論は市長答申される。答申は、3月になる」

「自治基本条例に反していると言うが、自治基本条例は理念条例なので、守る努力がされていれば良い。みんなで、自治基本条例に規定された峰をめざすものである」

「罰則がない条例なので、努力条例である」

「白井さんは、自治基本条例が新城市の憲法と言われるが、ルールブックという認識である」

「議会が付帯決議(今年の3月議会)で、行政にこれまでの不手際を検証し、市民への説明責任を果たせと議決した。これにより、自治基本条例に沿った対応がされた」

「白井さんは、白紙に戻せと言うのか?」

「自治基本条例が最初に制定されたニセコ町の取り組みは知らない。なぜ、ニセコ町に自治基本条例が求められたか知らない」

自治基本条例が制定されて10年目を迎えています。

上記が担当課の自治基本条例の認識です。

自治基本条例の理念が、新城市のすべての政策に活かされているかを検証すべき担当課が、10年目にしてもこの程度の認識です。

これでは、自治基本条例を守ろうとする意識は生まれようがありません。

自治基本条例の解説で以下(赤字)を強調したのが、担当課である市民自治推進課です。

「平成17年10月1日、旧新城市、旧鳳来町、旧作手村の3市町村の新設合 併により新城市は誕生しました。

市は、第1次総合計画を策定し、「協働」のまちづくりによる「市民自治社会の実現」をめざします。

これからの地方分権時代には、地域やそこに住む住民が、創意工夫をこらして自立的な地域運営をしていかなければなりません。

こうしたことから、自治体の運営については、地方自治法など既存の法令には定められていない事項についても自治体が独自に 姿勢を明確にしていくことが必要になってきます。

そのルールブックになるものが、自治基本条例です。」

「他の条例、規則、要綱 などを制定及び改正する場合は、この条例の趣旨を尊重し、この条例の内容と 整合性を図らなければならないことを定めています。」


自治基本条例は、新城市には「猫に小判」でした。

ルールブックと言うのであれば、守らなければダメでしょう。守る努力しか求めないルールブックは、世間では存在しません。

盛り上がっているカタールで開催されているサッカーのワールドカップでも、ルールブックは絶対です。ルールブックが基本で運営されているはずです。

新城市では、ルールブックは、守る努力をするものと言っています。しかし、自治基本条例を作った張本人である議会と市長がルールブックを守ろうともしていないのです。

解説では、「自治体が独自に姿勢を明確にする」とも強調してもいますが、担当課の認識では、「ルールブックでも守らなくても良いよ」という姿勢が明確になっています。

新城市のルールブック「自治基本条例」の要である3原則「市民が主人公」「参加協働」「情報の共有」の3原則がすべて無視された事業が給食センター建設事業なのです。

新城市のルールは、市長、議会が決めることがルールなっています。

いくら自治基本条例に立ち返れと言っても、自分たちの立場を守ることに注力しています。

市長も議会も自分たちに与えられている権限が自分のものと考えていますが、その権限は市民から委託されているだけではないでしょうか。

今の認識は、世界不安の元凶であるロシアのプーチン、中国の習近平に代表されるリーダーの認識に通じるものです。

市民から署名行動なので、自分たち(市長、議会)の決定に異論を唱えられてしまったことを重大事として認識できるリーダーであって欲しいものです。

声を挙げた市民に納得してもらえる最大限の努力を規定しているのが、自治基本条例の3原則であると考えています。

異論を唱える人は変わった人と切り捨てる新城市であって欲しくないものです。かと言って異論が正論と言っているのではなく、議論を尽くすことが大切だと言っています。

民主主義は、議論を尽くした上での多数決が原則だと考えています。新城市の民主主義の劣化が心配だと繰り返し主張してきましたが、何も変わっていません。

今回の給食センター建設事業は、新城市にとって最大事業と言えるものです。おそらくこれ以上の大規模事業は、財政面から判断して、二度と出てこないでしょう。

だから、対立を残したままの事業にして欲しくないのです。

「合併特例債の期限がある」ことを理由付けにするでしょうが、財政面以上に「市民自治」を重視することが必要だと考えます。一旦、白紙にするぐらいの責任が市長、議会に求められています。

おかしいという声が表面化して2年ぐらいが経ちますが、この間、何の説明をしなかった責任を果たして欲しいと思います。

僕が要望した件について、市民自治会議の鈴木誠会長に直接連絡を取りたいとの要望を担当課に投げかけています。

12月議会議決前に、市民自治会議の結論が出なければ、要望は無視されたことになります。約1年前に出している要望です。

参考に要望書を以下に載せます。




2022年 3月 11日

新城市自治市民会議 鈴木 誠 会長

要 望 書

現新城市において、自治基本条例違反が行政、議会が主導を取りながら進められています。その条例違反は、共同調理場建設事業に於いてです。

共同調理場建設事業が始まり、すでに4年余が経過していますが、行政、議会から説明を受けたことがありません。私自身が、共同調理場建設について知ったのは、決定されたという結果だけでした。

「市民が主人公」に責任を持つ、行政と議会だけで建設事業が進められてきました。

新城市自治基本条例には、下記の様に明文化されています。

第2章 まちづくりの基本原則

(まちづくりの基本原則) 第4条 まちづくりの基本原則は、次のとおりとします。

(1) 市民主役の原則 市民一人ひとりが主役となってまちづくりを進めます。

(2) 参加協働の原則 市民、議会及び行政は、積極的な参加と協働によりまちづくりを進めます。

(3) 情報共有の原則 市民、議会及び行政は、互いに情報を共有し、まちづくりを進めます。

昨年12議会でのカークランド陽子議員の「共同調理場にするという決断をする前に、市民の声を聞きましたか?」との問いに、「直接市民や学校関係者の声が反映されているかわからない」との市長答弁がありました。

また、3月議会でのカークランド陽子議員の「共同調理場建設決定を保護者に伝えましたか?」との問いに、「決定を伝えるタイミングがうまく取れませんでした」との市長答弁がありました。

公開の場での市長答弁でさえ、市民への情報提供が行われず、「議会が議決してくれた」という言い訳もありましたが、明らかにまちづくりの基本原則からの逸脱です。この現状を放置すれば、自治基本条例自体が有名無実化してしまいます。

議会は、議会基本条例違反の現実を問題にすることもなく、共同調理場建設事業を粛々と進めようとしています。議員の中には、市民への説明責任を果たすべきと考えている方もおられますが、多くの議員は、「ここまで進んだ事業に反対するな」と言わんばかりの態度に終始しているようです。

一市民としては、多数に無勢で深刻な事態を憂えるばかりです。そのため、新城市自治基本条例の「第24条 市長は、この条例の実効性を確保するため、市民自治会議を設置します」という条文に基づき、市民自治会議のみなさんに、自治基本条例違反の有無を検証し、違反が確認されれば、市長、議会に是正を求めて頂きたいと考え、本要望書を作成いたしました。

共同調理場建設事業は、進行中の事業であり、もしこのまま進行してしまえば、多くの市民には関係ない、単なる箱物施設になってしまうことに危惧しています。

子どもたちの健全な成長を願い、市民が支え合う施設としてより市民に身近な施設とするために、自治基本条例の通り、市民への情報提供を真摯に実行していただけるように、少しでも早い検証をお願いいたします。

                〒441-1341 新城市杉山字前野16-2
                           白井 倫啓
                        TEL  090-1290-2224
                        eメール slmichihiro@yahoo.co.jp
  

Posted by みちひろ at 11:46Comments(6)行政関係

2022年11月23日

新城市をあきらめるしかない

今日(11月23日)の中日新聞東三河版に、「給食自校式継続を求め、市長に5738名分署名簿」の見出しの記事が報道されていました。

給食センター建設事業が動きだしてから5年くらい経ちますが、未だに多くの市民の関心は薄いままです。

総事業費が40~50億円とも言われる大事業です。

そんな大事業でさえ、市民の意見を聞かないまま、その場その場で市長提案され、内容を理解できていなくても、多くの議員は粛々と賛成してきました。

給食センター建設事業の既成事実が積み上げられ、後戻りはできないという状況を市長と議会が作り出してきました。

総事業費もしらないまま、どんな場所に建設するか調査もせず、子どもの数が激減することを無視して(建設後すぐに過大な施設になる)、多くの議員は何の疑問も持たず、市民への説明責任も果たさないままここまできました。

記事によれば、来年4月から本格的な着工が始まるようです。

新城市の独裁的な特徴が表れています。これまでも同様ですが、動き始めたら市民では止めることができませんでした。

正直なところ、給食センター建設事業を止める可能性は低いと考えています。

今回、5000名を大きく超える署名を集めた市民の頑張りには頭が下がります。僕自身の貢献はほとんどありません。

なぜ、声を挙げてくれる市民と向き合おうとしないのか?異論を唱える市民を巻き込む努力は皆無です。

市長と議会がタッグを組めば、何も怖いものはありません。このタッグを打ち破れたのは、ただの一回、新庁舎建設事業の住民投票だけでした。

しかし、その住民投票でさえ、結果が市民側に軍配が上がったにもかかわらず、市長も議会も悪びれることなく、市民説明をしないまま、勝手に自分たちの見直しを強行しました。

議員活動、市長選挑戦の長年の経験が、市民の意識、市長、議会のやり方を変える困難さを意識し、解決方法が見えてきません。

期待した市民を主人公と明記した「自治基本条例」は、骨抜きになっています。

新庁舎建設事業の時もそうでしたが、求めていたのは、新城市の将来を見据えた政策の中に建設事業を位置付けて欲しいということでした。

市民が新城市に愛着を持ってもらうためには、自治基本条例に明記した市民、行政、議会の協働が不可欠です。

まちづくりは困難な事業ですが、市民が自分事として参加してもらうためには、どうしても情報提供を前提とした、協働が必要なのです。

新城市は、国の強制的な合併政策にあらがうこともせず、新城市・鳳来町・作手村の大合併に突き進みました。

面積が愛知県の2位の広さ、そこに4万数千人の人しか住んでいないのです。すべての市民に行政サービスを行き届かせることは並大抵のことではありません。

愛知県の市で一番財政力が乏しいのだから、より財政規律に厳しく取り組まない限り市民サービスを守ることはできません。当たり前のことです。

「有利な財源だから大丈夫」と合併特例債の使用限度190億円ほどを、給食センター建設事業を最後に使い果たします。結果、財政余裕はますますなくなるでしょう。

当たり前です。有利な財源と言っても借金です。借金はしないにこしたことはありません。

少しでも、費用対効果を考え、最小の経費で最高の効果を上げるように考えることを市民から委任されているのが市長であり議員なのですが。

何を勘違いしているのか、選挙で選ばれたのだから、すべての権限を与えられているかのように振舞う態度がたびたび見られます。

給食センター建設の記事の上に、上下水道料金値上げの記事が載っていました。

二年後には、一般的家庭(3~4人)で2割以上の値上げとなり、7千円強になります。ますます近隣市町村との差が大きくなります。

この値上げは、人口減少とともにさらに続くことが想定されます。維持管理費を、対象戸数で支えるしかないからです。

もし、値上げを抑えようとすれば、新城市財政から負担せざるをえません。

市道、橋、公共施設などの維持管理費を考えれば、新城市財政に余裕はありません。ますます、市民の負担は増えていくでしょう。

この状況に耐えられなくなれば、近隣の市に移住してしまうでしょう。

現状でも、結婚を機会に、他市に移住し、他市から市役所に通う職員が増えているようです。職員家族にも選ばれない新城市となっています。

少子高齢化が年々深刻になる新城市です。将来を見据えた運営が必要不可欠ですが、大事業を進めることはあっても、具体的な少子高齢化対策は示されていません。

こんな時に、借金に頼る大事業を少数の人間だけで決定して良いのでしょうか?

いいはずありませんが、現実は、事業詳細の検討がないまま、だれかの一存で給食センター建設事業が決定されたという感じです。

5000を超える署名は、「慎重に扱います」と言うかもしれませんが、計画変更の材料にする気はないでしょう。

何が何でも給食センター建設というごり押しが心配です。

作手地区は、親子方式(小中学校で一つの給食調理室)です。それならなぜ、千郷地区、新城地区、東郷地区、八名地区、鳳来地区という単位で親子方式にしないのでしょうか?

小中学生の人数推移を考えれば、学校の統廃合を考慮した給食調理室の整備の方が建設費用を抑えられるのではないか?

大きな施設を作れば維持管理費も大きくなります。しかも、今回の給食センターの委託費は2億円ほどと聞いていますが、この2億円ほどは、市外の業者に渡っていきます。

多くの疑問を積み残したまま、事業だけは進んでいます。市民との協働皆無の事業です。

新城市を創るのは、市長、議会だけの力でできるものではないのです。

なぜ、市民に新城市の現状(財政、様々な施策などなど)を正直に伝え、共に知恵を出し、汗を流してもらうことに努力しないのか?

自治体は破綻しないと信じていたはずでしたが、夕張市は破綻しました。夕張市民は、破綻後に初めて市の財政状況を知ることになりました。

給食センター建設事業で一番心配するのは、多くの市民が蚊帳の外に置かれていること、十分な検討がないままの泥縄事業となっているため、新城市の財政にどれだけの悪影響を与えるのか不明ということです。

今、40億円ぐらいと言われていますが、詳細検討が続く中で、どれだけの事業費増となるかわかりません。

そんな事業の予算議案が、12月議会に提案されるのです。おそらく、賛成多数で可決されます。

今の新城市に、呑気なお手盛り事業をやっている余裕はないと判断できるのですが、自分の足元しか見ないリーダーたちには、新城市の将来に責任を持って欲しいという正論は通じないのでしょう。

12月議会の結論が目に見えるようですが、もし予想通りに波乱もなく議会が閉会を迎えることになれば、新城市をあきらめるしかないでしょう。

少なくとも次の市長選までの3年間は、人口減少が想定以上に続いていくでしょう。

この流れを止める可能性は、3年後の市長選ですが、この危機的状況を理解し、解決方法を示すことができるリーダーが出てくるのか?
  

Posted by みちひろ at 20:13Comments(6)行政関係