2021年04月19日

次期市長選に出馬される方へ望むこと⑪

保健・医療・福祉・介護政策について提案します。

立候補予定者(以下、予定者)にも参考にして頂くことを望みます。

広島県尾道市の公立みつぎ総合病院が、何十年も前から地域包括ケアシステムを始めました。今や、厚労省も推進するシステムになっています。

このシステムを始めた当時は、御調(みつぎ)町営の病院だったにもかかわらず、全国の先頭を走っていたということに、当時のリーダーの先見性に驚かされます。

みつぎ総合病院のHPで、以下の様に地域包括ケアシステムを定義しています。

①地域に必要な包括ケアを、社会的要因を配慮しつつ継続して実践し、住民(高齢者)が住み慣れた場所で、安心して一生その人らしい自立した生活が出来るように、そのQOLの向上をめざすしくみ。

②包括ケアとは治療(キュア)のみならず保健サービス(健康づくり)、在宅ケア、リハビリテーション、福祉・介護サービスのすべてを包含するもので、多職種連携、施設ケアと在宅ケアとの連携及び住民参加のもとに、地域ぐるみの生活・ノーマライゼーションを視野に入れた全人的医療・ケア。

③換言すれば保健(予防)・医療・介護・福祉と生活の連携(システム)である。

④地域とは単なるAreaではなくCommunityを指す。

新城市議会の常任委員会視察、議員会派での視察と、みつぎ病院の地域包括ケアシステムについて学んできました。常任委員会主催で、みつぎ病院担当者をお招きし、地域包括ケアシステムの講演を企画したこともありました。

新城市でも、

「団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、医療や介護等を必要とする高齢者が大幅に増加し、ひとり暮らし高齢者等の急増による家庭における介護力低下や、認知症高齢者の大幅な増加も予想されます。

高齢で医療や介護が必要な状態となっても、適切なサービスを利用することによって、尊厳を保ちながら住み慣れた地域で自立した日常生活の継続が図られるよう、医療・介護・予防・生活支援・住まいが地域において切れ目なく提供されるしくみ『地域包括ケアシステム』の構築が必要となります」

という認識で取り組みを進めています。

担当課に取組の現状を確認しています。以下(「」赤字)のような状況です。

「国は、地域包括ケアシステムの取り組みを、介護保険をベースに始めたため、新城市でも、高齢者対応で進んできた。

地域包括支援センターを中心に、介護保険対応を進め、地域共生社会をめざしてきた。

昨年6月からは、在宅医療と介護を切れ目なく対応するために、看護師2名が常駐する在宅医療介護連携談窓口を、市役所担当課内に設置した。


この窓口の設置により、市外の医療機関との連携、市外医療機関と新城市民病院との連携、ネット掲示板を活用した医療、介護、福祉の連携が進んできている。

現時点で、多くの市民要望に応えられるシステム構築進んできている。今後は、高齢者だけでなく、幅広く対応できる地域包括ケアシステム構築を目指していく。

地域包括ケアシステム構築の取り組みの中で、未病対策として庁内の連携も進めている」

担当課の説明の様に、保健、医療、介護、福祉の連携が進んでいます。

今後の課題として、市民、新城市民病院、民間医院、医療・福祉・介護関係者との相互の信頼関係の構築が考えられます。

その中でも核となる新城市民病院と市民との信頼関係の構築について提案します。

新城市民病院は、穂積市長が就任した16年前、研修医制度の影響もあり、名大から派遣されていた医師が撤退し、市民病院在籍の医師が激減するという危機に見舞われました。

市民病院院長も辞職する事態となりましたが、何とか浜松医大から院長を派遣してもらうことができました。

外部の有識者を交えた病院改革にも取り組みました。市民病院の公営化か民営化かまでの議論まで広がりました。

穂積市長1期目は、市民病院改革で始まりましたが、今となって振り返れば、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という思いが強く残っています。

一般会計から10億円前後の税金をつぎ込み、何とか市民病院の経営が成り立っている状況です。最優先課題である医師の確保は、関係機関へのお願い行脚に頼るしかありません。

市民病院の改革が一部の職員の努力だけに頼っている状況にしか見えません。今年度は、院長が退職し、婦人科医も退職したことを新聞の記事で確認しましたが、ますます深刻さを増しているようで心配です。

市民病院の改革に欠けている最大の視点が、医療はまちづくりの一環であるということです。

市民病院単独だけでの改革議論では、市民の中に不安と不満しか残らないでしょう。

医師の確保は、新城市だけの問題ではなく、全国の地方自治体で起きていることです。いくら、「医師が足りない」と国、県、各種医療機関に陳情をしようと、簡単に解決できる問題ではないのです。

なぜ、医師が地方を選ばないのか?理由は明らかです。

「地方では自分の医療技術が上がらない」「先進医療情報が得られない」「家族の理解が得られない(家族が地方への移住に反対)」「子どもの教育環境が悪い」「魅力が無い地方には行きたくない」「地方は陸の孤島」などが言われ続けています。

新城市も同様な理由で選ばれない地方と言えます。

劇的に海士町を変えた山内町長(当時)のように「ないものはない」と腹をくくり、まちづくりとして医療、また医療に連携する福祉、介護を考える必要があると考えています。

「医師がいない」「救急医療が手薄」と嘆くのではなく、今ある医療資源を大切に使うという市民意識の醸成が大切です。

新城市には、市民病院があります。民間医院もあります。地域包括ケアシステムの充実に進み始めています。

医師、看護、福祉、介護などに携わる多くの人的資源があります。この人的資源を、市民自身が信頼し、連携していくことをまちづくりとして取り組んでいく必要があります。

市民からの心ない言動に傷ついている関係者をなくしていくことが必要です。

市民から信頼されているという環境づくりは、医師、看護、福祉、介護関係者の働きがいを育てていくことにつながると思います。

SDGsの目標「3.すべての人に健康と福祉を」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「11.住み続けられるまちづくりを」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」に通じる取り組みです。

「ないものはない」が、あるものを市民みんなで活かし豊かにしていくという取り組みは、対外的に魅力発信のまちづくりになるでしょう。

ここまでに、農林業政策、商工業・観光政策、教育政策などを書いてきましたが、将来を見据えた取り組みが、新城市の魅力づくりでもあり、市内外の人たちに選ばれるまちにつながります。

志のあるまちで医療を支えていくことに働きがいを感じる医師はいます。医師にも選ばれるまちをめざして欲しいと思います。

回り道の様に感じるかもしれませんが、新城市の基幹病院の改革の早道が、まちづくりの魅力発信であるということだと考えています。

前回の山本候補の言う「V字回復」みたいな改革は夢物語であり、時間がかかろうと、足元を固めていくしかありません。


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