2021年02月22日

穂積市長マニフェスト検証8

2月9日、学校教育課から回答を受け取りました。

学校教育課には、「新設される新城有教館高校の魅力への支援策の具体的実施状況について」等を質問しています。

学校教育課の回答は、概略以下の通り(赤字)です。

令和2年度に入ってから学校教育課が、新城有教館高校の魅力向上に向けての対応担当になった。

新城有教館高校は愛知県教育委員会の管轄のため、新城市学校教育課として何ができるかという気持ちを持った。

最初に、マニフェストに掲げられていた「単位交換型留学制度」が、愛知県の施策として実施可能か確認した。

愛知県教育委員会の回答で、実施可能であることは確認できた。単位交換型留学制度と言うのは、例えば、高校2年で1年間留学しても、帰国後は高校3年でスタートできるという制度のことを言う。

しかし、コロナ感染の影響のため、予定されていた「ニューキャッスルアライアンス」が中止となってしまった。

そのため、「ニューキャッスルアライアンス」で協議を予定していたスイスの高校との交流も中断してしまった。

マニフェストが掲げている支援は、現時点で、市内中学校の進路担当教諭、家庭などと共有されていない。国際交流という視点も共有されていない。

新城有教館高校とスイス、デンマークの高校との相互交流を、一部始めているとお答えしたが、その相互交流が、新城有教館高校と他校との差別化に結びつくかについての、比較検討は行っていない。

有教館高校の紹介は、ティーズで行ってきた。


以上です。

再質問の回答を求めたら、急に学校教育課が前面に出てきた印象です。

最初の質問に対する答えは、「令和元年度、新城有教館高校の魅力のため、高校生がニューキャッスルアライアンスをとおして相互理解を深めた市に留学できる制度作りに着手した」でした。

学校教育課が担当になったのが、令和2年度ですから、最初の質問の答えはまちづくり推進課だったようです。

制度作りに着手したとの回答でしたが、H30年度に実施された新城市でのニューキャッスルアライアンスの時に、留学できる制度についての話があったという程度のようです。

学校教育課が担当になって初めて、単位交換型留学制度について、愛知県の制度としての有無が確認されていますから、H30年度のニューキャッスルアライアンスから2年間くらいは、何の対応も無かったということになります。

急に学校教育課に白羽の矢が立った感じですが、学校教育課は、不断に市内の小中学校の教育に対して忙しく、急に新城有教館高校の魅力向上が業務だと言われても、簡単には動けるものではないでしょう。

しかも、愛知県立の高校の教育課程まで、新城市の学校教育課が踏み込むことは簡単なことではありません。1担当課が担う業務ではなく、市を挙げて愛知県との対応が求められるものです。

結果、新城有教館高校と他国の高校との交流が始まったとしても、それがすぐに、魅力向上につながるものでもなく、継続した実績が定着してはじめて、魅力となっていくものだと考えます。

高校生の国際交流=新城有教館高校の魅力アップと言ってみたかったのでしょうか?

その魅力アップのマニフェストの目玉政策が、「単位交換型留学制度」で、愛知県にも確認もせずに、できるかどうかも検討不十分なまま、マニフェストに掲げたことになります。

単位交換型留学制度というのは、説明の通りであれば、他国で1年留学した時、その1年の留学の間、語学だけでなく、進級するために必要な他の学科の単位も取得する必要があるということになります。

そのためには、相当の語学力が必要になるはずです。特に、今回始めようとしているスイス、デンマークの高校との留学制度適用をめざそうとすれば、スイス語、デンマーク語の堪能さが求められます。

その保障を新城市が責任を持つというのでしょうか?それとも、生徒の自己責任で頑張れというのでしょうか?

生徒の自己責任となれば、この制度適用が、お互いの高校で合意されても、絵に描いた餅になるでしょう。

将来の目標として掲げることは自由ですが、1期4年のマニフェストに掲げてしまうと、穂積市長が変えたいと念願していた「夢のオンパレード」の政策選挙になってしまうと思います。

「やっぱり穂積市長、考えることが先進的」とマニフェストを読んだ市民がいたとしたら、罪ある提案だったのではないでしょうか。

今回の件については、穂積市長の話術の特徴が出ているように思います。

ニューキャッスルアライアンスの成果に対する市民の不信があるとしても、逆にニューキャッスルアライアンスがあるから、新城有教館高校の魅力向上のための単位交換型留学制度を進めることができた、と成果に見せるという話術です。

新城・名古屋高速バスも同様です。

高速バスの成果に対する市民から疑問があっても、高速バスを走らせたおかげで、名古屋という大都市との交流を始めることができたと成果(成果の中身は疑問)を強調しようとします。

新庁舎の住民投票も同様でした。

新庁舎見直しの住民投票が取り組まれ、最終的には住民投票を求めた側が市民多数の支持を得ましたが、自治基本条例で住民投票の権利を保障し、自治活動を強めたおかげで住民投票が行われ、市民多数の声を反映した計画となった、と自分の成果の様に強調しました。

「市民が主人公」と強調しながら、何が市民の利益なのかわからないことばかりの様に見えてきます。

新城有教館高校は走り始めています。作手高校の存続の課題も新城市にはあります。高校進学で、市外に出て行くことは、新城市への愛着を薄めさせる心配があります。

今回の高校問題で、前回の市長選に向けて、僕自身が市内各所を回った市民説明会開催を思い出しています。

その説明会で、廃校寸前の高校を立て直し、人口減少に歯止めをかけたという、島根県海士町の取組を紹介し、「人口減少は日本全国で起きている。仕方がない」とあきらめるのではなく、具体的に現状を分析し、具体的な解決策を作りあげることが必要と訴えました。

海士町を激変させた山内道雄町長(2002年から2018年まで町長)の以下のことば(赤字)を紹介しながら、市内を回りました。

海士町の取り組みは、挑戦事例であって、成功事例ではない。ないものはない。ならば、あるものを磨くしかない。2002年の町長就任以来、新たな産業づくりと教育の魅力化に全力を傾けてきた。

経済とひとづくりは両輪。町に高校がなくなれば、島外に進学する子どもの学費をまかなうため親も出て行ってしまう。それは、何よりも大きな損失だった。

人が集まり根づく町にするため、IターンやUターンの新たな知恵や経験を柔軟に受け入れた。本気でやる人には、町も本気で応えた。

成果は徐々に表れ、町財政は回復基調に転換。人口の減少も歯止めがかかり、保育所には定員を超える入所希望が寄せられるまでになった。

島の未来は自分たちで考えるほかなく、町の歩みに終わりはない。

チャレンジをやめたら島は沈む。未来永劫(みらいえいごう)、人が住んでいる限り挑戦し続ける。


山内町長は、2002年に町長に就任し、約10年(V字回復を言った候補者がいましたが、地道な努力の積み重ねが必要)をかけて人口減少に歯止めをかけました。2018年に後継者にバトンタッチして町長を降りました。

穂積市長は、今期を終えると、2005年から2021年までの16年間を新城市長として過ごすことになります。

山内町長とリーダーとしての多くの年月が重なります。しかし、その実績には大きな違いが生じています。

例えば、「GD Freak!」サイトのデータで比較してみます。データは、総務省 国勢調査及び国立社会保障・人口問題研究所 将来推計人口、総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数を基にGD Freak!が作成したものです。

海士町は(詳しくは、ネットから島根県海士町人口⏎)、国立社会保障・人口問題研究所が2010年までの国勢調査に基づくトレンドから予測した2015年人口よりも160人(7.3%)多く、予測よりかなり上振れしている。上振れ率では全国ベスト21位。2045年の平均年齢は、2015年の 52.9歳から0.7 歳若返り、52.3歳となる。

新城市は(詳しくは、ネットから愛知県新城市人口⏎)、国立社会保障・人口問題研究所が2010年までの国勢調査に基づくトレンドから予測した2015年人口よりも310人(0.7%)少ない。2045年の平均年齢は、2015年の 50.0歳から7.8 歳上昇し、57.7歳となる。

新城市の様に、具体的に有効な政策が実行されなければ、予測値より人口減が進んでしまうのです。同時期に、海士町では予測値より人口を多く維持しています。

2045年の平均年齢を見ると、明らかに海士町の方が若いですね。

同データサイトから、2045年の高齢化率の予測を見ると、新城市48.3%に対して、海士町37.5%です。

海士町は、島根県本土から約60km離れた海上の島です。どう考えても、新城市の方が立地条件は優れています。

同時期にリーダーとして責任を持った自治体経営に大きな差が出ている現実。

穂積市長が、様々な条例を作ったり、様々な組織を作っている時に、山内町長は、改革の方向を絞り、力を集中し、全国的に顕著なまちづくりを進めていました。

現時点でも、海士町のまちづくりが、成功例としてマスコミで取り上げられています。

新城市では、若者議会、マニフェスト大賞など、形だけのものが取り上げられることがありますが、人口減少は、合併以来、予測を上回るスピードで進んでいます。

このままの市政が続けば、後30年もすれば、2人に1人が高齢者だという超高齢化社会を迎えてしまいます。

海士町と新城市の差は、明らかにリーダーの差です。

立地条件も悪く、何もないと嘆くしかなかった海士町でできたのだから、新城市でもあきらめる必要はないと思ってきました。しかし、穂積市政4期16年が新城市の衰退を確実なものにしたかもしれません。

16年前の改革と、高齢化率が上がってしまったこれからの改革では困難の度合いが上がってしまいました。

海士町が必至で頑張っていた時、新城市では呑気に「自治」を叫んでいたということでしょうか。

海士町の情報は、ネットで簡単に検索できます。興味があれば探してみてください。

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この記事へのコメント
> ニューキャッスルアライアンスの成果に対する市民の不信があるとしても、逆にニューキャッスルアライアンスがあるから、新城有教館高校の魅力向上のための単位交換型留学制度を進めることができた、と成果に見せるという話術です。

この「話術」に引っかかる市民がまだいるのが情けないですね。

市民の不信はもちろんですが、9割の市民にはアライアンスなんて関係ないし、関心もないですよ。

ほのかに外国人がアライアンスのコラム?を載せてますが、ヨーロッパでクリスマスをやったとかなんとか、はっきり言ってぜんぜん新城に関係ない。市役所が必死にアピールしてるだけでうざい。市民はコロナでそれどころじゃありません。無駄な事業だと思いますが、市長の肝いりだから止めないんですね。

> 特に、今回始めようとしているスイス、デンマークの高校との留学制度適用をめざそうとすれば、スイス語、デンマーク語の堪能さが求められます。

アライアンスのあるスイスの町はフランス語圏です(スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つ。スイス語というのはないです)。デンマークにしても、スイスにしても、授業は英語ではなくて、現地語でやります。日本の英語教育しか受けていない高校生が、ヨーロッパの高校レベルの授業を現地語で受ける(しかも単位取得するために試験に合格する)なんて、無謀でしょう。受け入れ高校も大変じゃないですか。穂積市長の妄想につき合わされて。

コロナでアライアンスが中止になったから外国と協議ができない、という言い訳も変ですね。リモートでできますよ。でも、留学制度と言ってるだけで、市長も教育課も中身は考えてないんでしょうね。

新城有教館高校が定員割れだそうですね。

東高校がなくなって、普通科が消えたのが一番の問題だと思います。偏差値41だそうですが、これからもっと下がる気がします。市外からわざわざそういう高校に進学したいでしょうか。

校名にカッコつけても、中身がなければ生徒は集まりません。スイスとデンマークの高校へ留学できます!!でも現地語で授業を受けてください!!って、、、これで新城高校の魅力をアピールしてるつもり(呆)?
Posted by S at 2021年02月24日 08:49
コメントありがとうございます。
修正、補足もありがとうございました。
Posted by みちひろみちひろ at 2021年02月24日 09:46
東愛知新聞の記事です。豊橋市長の多選自粛条例について(連続して3期を超えない)。

新城では穂積市長が現在4期目で、新城はその間ずっと廃れる一方なのに、5期目に立候補するらしいとか。長期政権の弊害の見本です。

新城市長からは多選自粛なんて声は聞こえませんね。若者議会条例とか市長選公開討論会条例とか、全国初の条例づくりがお得意(笑)のはずなのに。

他の東三河の市に比べて、新城はやることが遅いか、無駄遣いか、解決につながらない単なるマスコミ受けが多くて、市民への恩恵は二の次です。

なぜ失策ばかりの独裁市長(市役所の白井さんへの回答を見て、職員も市長の言いなりなんだろうなと思いました)が16年ものさばっているのか。5期目も独りよがりのパフォーマンス市政が続いたら、新城は取り返しがつかなくなりますよ。

http://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/7574
豊橋市が多選自粛条例を市議会提案へ 02月21日(日)00:00掲載

 「豊橋市は、26日開会の市議会に、市長の在任期間に関する多選自粛条例を提案する。可決なら県内で初、全国の自治体でも数少ない例となる。浅井由崇市長が選挙時から訴えた公約の一つだ。多選の是非は今も結論が出ないテーマ。賛否両論ある中で、市議会の反応も注目される。
 市が19日に発表した議案「豊橋市長の在任期間に関する条例」では、市長職の在職期間が連続して3期を超えないよう努めるとしている。市議会最終日の3月29日公布を目指している。」
Posted by S at 2021年02月25日 01:35
市長多選の件です。新城市にも必要ですね。

「多選の是非は今も結論が出ないテーマ」と言われればその通りかもしれません。

しかし、一度地盤を固めてしまえば、相当の失策がない限り、その職を失う事は無くなる現実をみると、多選の弊害は否定できません。

まさに穂積市長の多選は、新城市にとって弊害ばかりが大きくなっています。

それでも、その弊害の大きさを判断するのは市民です。これまでの市長選をみると、有権者の半分くらいは、穂積市長に投票しています。

穂積市長の対外的に強調する「自治」を、本当に市民に浸透させていれば、新城市の現実を多くの市民が理解しているはずなんですが。

そうなっていない現実は、穂積市長の「自治」の真実を示しています。

市内の建設関連、市発注関連業者が、未だに市長戦後の自分の懐を考えざるをえない現実も、多選を後押ししてしまいます。

歴史を見れば、為政者は自ら利権を手放すことはしないですね。それに、有権者を賢くすることもしないですね。

議会もほとんど熟睡状態なので多選を後押ししているようなものですから。穂積市長には好都合ですが。

より多くの市民が、自分の置かれている危機的状況を理解しようと動いてもらえることを願うばかりです。

豊橋市で可決されたら、新城市議会にも条例請願してみても良いですね。

豊橋市で可決されれば、もしかしたら新城市議会でも可決されるかもしれませんね。
Posted by みちひろみちひろ at 2021年02月25日 07:24
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