2021年02月03日

穂積市長マニフェスト検証2

2月2日、環境政策課とまちづくり推進課から回答を受け取りました。

環境政策課の回答は概略以下の通り(赤字)です。環境政策課には、「新城エネルギー公社が、未だに検討段階で、4期目市政を動かすはずのエンジンが動いていないのはなぜか?」という質問を投げています。

第一次総合計画の重点戦略に「環境首都創造」を計画していた。

東日本大震災での経験で、エネルギーの重要性が再認識された。その後、エネルギーの自由化で、新電力に注目が集まるようになった。

災害時の電気を含めて、地域のエネルギーを活用しようという流れが大きくなってきた。

新城市で考えれば、市内で消費されるエネルギーの総額が、約250億円と試算されている。この費用を市内で循環できれば、地域経済を活性化せることにつながり、雇用増に貢献できる。

エネルギー地域循環は、二酸化炭素貢献にもつながり、それを担うエネルギー公社の存在意義は大きい。

実際に、H30年にエネルギー公社の事業採算性を試算したが、電気卸売市場価格上昇が顕著となり、早急な新城エネルギー公社設立は困難と判断した。

現段階では、民間の電力事業者との連携を模索し、価格競争に巻き込まれないように、社会的価値に重きを置くエネルギー活用の検討を進めている。

各地の先進事例調査も行ってきたが、決め手となるような先進自治体は見当たらない。検討状況は逐一部長に上げ、部長会議を通して市長にも伝わっていると思うが、具体的な指示は降りていない。

環境政策課において専任担当者はいない。課長と主任で対応している。

マニフェストの約束期間終了まで1年を切ったが、検討を継続する。


まちづくり推進課の回答は概略以下の通り(赤字)です。「コミュニティビジネスを新規に立ち上げた37人の状況について」「新城有教館高校の魅力向上に向けての支援策について」の質問です。

コミュニティビジネス立ち上げの37名の中身は、めざせ明日のまちづくり事業のコミュニティビジネス部門で立ち上げた5団体に組織された総勢51名の内の女性と若者の数である。37名の個々人が新規事業を立ち上げたというわけではない。

5団体は、地域活性化を目指す地域団体、女性団体である。それぞれの団体が経済的に自立できる状況(ボランティア活動に頼っている)に至っていないが、地域コミュニティー再生に効果を上げ始めている。

作手で立ち上げたコミュニティビジネス事業「地域食堂」は、社会福祉協議会との連携により、地域での食事提供に加え、配食サービス事業の検討を始めている。

コミュニティビジネス事業は、H28年度から始まっているので、市長選前からの継続事業(4期目マニフェストに根拠を置く事業ではない。雇用増の約束も新たな事業を起こしての約束ではない)である。

新城有教館高校の魅力向上については、ニューキャッスルアライアンスで交流しているスイスのヌシャテル市との間で高校間の相互交流を検討していた。しかし、コロナ感染の影響で中断している。

現状では、コロナの終息の見通しが立たず、任期残り1年での高校間の相互交流の実現は不透明である。

また、新城有教館高校には、専門系(実務系)もあるので、国際交流関係の支援だけでは、魅力向上に十分でないと考えるが、現時点ではその対策は考えていない。


率直に言って期待していた「マニフェスト選挙」に対する疑問ばかりが大きくなっています。

合併直後に制定された第一次総合計画に「環境首都創造」が重点戦略に挙げられていたというのに、エネルギー政策は未だに不透明です。

4期目マニフェストに挙げていたエンジン部分である「新城エネルギー公社」は、設立可能性を試算した途端に、採算性が取れないことがわかったという状況です。

現在、先進事例調査をしているとのことですが、提案した本人である穂積市長は3期12年もの間、何をしていたのでしょうか?

僕が議員の時、エネルギーの地産地消の必要性を訴え、先進自治体の視察報告も伝えていたにに、その時は、できない理由ばかりを言っていたのは誰だったでしょうか?

その人が、選挙に向けてのマニフェストにいきなり、「新城エネルギー公社」をエンジンにすると言い出したのです。

先進事例調査にいくら時間をかけても、今のままでは公社設立は不可能でしょう。簡単に成功した先進事例はほとんど出てこないでしょう。上手く言っている自治体はありますが、その多くがしり込みする自治体を引っ張った民間事業者の存在があります。

全国的に有名になった岡山県真庭市(新城市議会の委員会視察でも何回か足を運んでいる)は、スタートは民間事業者が始めたバイオマス発電でした。それが、今や環境先進自治体として、全国から環境視察を受け入れ、環境で新たな経済を生み出しています。

行政は、できない理由を考えるのが得意と言われます。よく言えば、石橋をたたいて渡るという慎重さがあるということでしょうか。

「新城エネルギー公社」を本当に立ち上げたいというのであれば、考えられる障害を理由に止めるのではなく、その障害を取り除くという覚悟がなければできません。


時代は、自然エネルギーに大きく舵を切っていくでしょうが、成功事例を待っているだけでは、いくら検討を続けても、市民に約束した「新城エネルギー公社」は立ち上がらないでしょう。

一担当者が決定できる事業ではなく、市長の思いと具体的な構想がなければ進まない事業です。

担当者が、「採算が取れない」という試算結果を伝えても、穂積市長からは具体的な指示はないということですので、ますます実現性は不透明です。

「新城エネルギー公社」設立の構想もなく、マニフェストに挙げても、許されるのでしょうか。枝葉の政策ではなく、新城市の抱える難題解決のエンジンとなる重要政策なのです。

昨年末には、「5万円給付」の公約を諦めた岡崎市長に対するリコール団体が設立されたようです。岡崎市長は、「やらないんじゃなく、やれない」と言っているようですが、立候補した自治体の財政状況も考えない公約を掲げたことだけで、市長の適格性が問われると思うのですが。

穂積市長も言うのでしょうか?「やらないんじゃなく、電気卸売市場価格が上がってしまってできなくなった」と。エンジンが止まっている(新城市の難題解決が棚上げ)という現実は、無視ということでしょうか?

そもそも、自前でエネルギー調達を考えずに、電気市場に頼っているだけでは、解決策は見えてこないと思いますが。

コミュニティビジネス、エネルギー公社、地域商社、若者・女性起業で100人の雇用実現をマニフェストに挙げていました。

現状は、エネルギ―公社、地域商社は検討段階のため雇用の可能性はありません。若者・女性起業は、コミュニティビジネス事業の中から抽出しているようなので、100人の雇用実現は、めざせ明日のまちづくり事業のコミュニティビジネス事業に頼るしかなくなっています。

まちづくり推進課の回答は、地域再生=コミュニティビジネス事業ということでした。雇用増(ほとんどがボランティア)というより、地域コミュニティー再生が現状においては、最優先課題と判断できます。

個々の地域が孤軍奮闘しても、経済的自立を実現することは不可能に近いと考えています。地域の思いと行政の精神的・物的支援が欠かせないでしょう。

数字的には51人という住民がコミュニティビジネス事業に関わり、その人数を雇用増とカウントしようと考え、マニフェストに挙げたかもしれませんが、何のためのマニフェストなのか不思議です。

地域で求めているのは、地域再生です。その地域再生のために、どの様な支援が必要なのかこそマニフェストに挙げるべきです。

新城有教館高校の魅力向上も、唯一の支援策である、ヌシャテル市の高校との相互交流は、実現の目途がたっていません。

「やらないんじゃなく、コロナ感染のためできなかった」と言いますかね。余りにも選択肢が狭すぎます。100%(交流実現が目的、成果は二の次)か0%という政策ということです。

マニフェストに挙げた政策が「新城有教館高校の魅力向上のための支援策」でした。

新城市だけではなく、奥三河にとっても、地元の若者に選ばれる高校に育てることが非常に大切だと思っていますので、政策の重要度には共感できます。

しかし、4年に一度の市長選に挙げられた当選市長のマニフェストは、第二次総合計画(3年前の市長選後に制定)に反映されるはずなのですが、一行も「新城有教館高校の魅力向上のための支援策」はありません。

普通に考えて、高校の相互交流だけで、新城有教館高校の魅力向上にはあまりにも不十分です。市長選を勝ち抜いたマニフェストの扱いが軽過ぎるように思います。そもそも、マニフェストには挙げてみたが、それほど思い入れのある政策でなかったかもしれませんね。

穂積市長は、政策抜きの握手とお辞儀優先の選挙を変えたいという思いで、公開討論会条例を作ったようです。その思いが本当であれば、僕も同感です。

しかし、公開討論会条例という先進策を進めながら、マニフェストの位置づけが曖昧、マニフェスト自体への誠実さ欠如が見えてしまいます。これでは、公開討論会条例は、絵に描いた餅になってしまうでしょう。

市長候補者の、真剣なマニフェスト選挙が前提にあってこその公開討論会ですから。

本来は、議会がまともであれば、マニフェスト検証は、議会の役目なのです。新城市には二元代表制が機能していません。新城市の現状を考えると、市長、議会もわが身のために動いているようにしか見えません。

穂積市長の新城市政15年を検証する必要があると思いながら(こんなことやってどうなるのかと思いながら)、もうしばらく、他の課からの回答を受け取ります。



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