2021年01月21日

公開政策討論会条例より大事なものがある

1月19日の中日新聞東三河版に、新城市公開政策討論会条例の経緯や意義をまとめた本が出版されたという記事が掲載されていました。

本の名称は、「選挙はまちづくり-わかりやすく・おもしろく公開政策討論会条例ができるまで」です。

記事に写真も付けられていました。この本作成に関わった二人が、出版された本を持っている写真です。

写真のうちの一人、田村組の田村社長の「過疎化など地域の問題を解決するすべを本書を読んで探って欲しい」というコメントが紹介されています。

どうも勘違いしているのか?それとも、新城市の自治が進んでいるという言い訳なのか?「まちづくり」を進めたいのなら、公開政策討論会条例を作る前にやるべきことがあると思います。

公開政策討論会条例を求めた市民がどれだけいたというのでしょうか?

公開政策討論会は、実施したとしても4年に一回の取組でしかありません。

選挙がまちづくりと言いたいのであれば、公開政策討論会が市民に求められる取り組みにする必要があります。

現時点で、どれだけの市民が市政を自分事として捉えているでしょうか。

3年前の市長候補者3人による公開討論会をどれだけの市民が待ち望んでいたでしょうか?

「自治」と言いながら、市民が市政の主人公になっていません。4期15年の穂積市政の問題がその点にあります。

市政の現場に関わっているという意識づくりが、多くの市民の中でほとんど進んでいないと考えています。「自治」は与えられるものではなく、市民自らが作りあげるものです。

現在の民主主義は、為政者の迫害を乗り越え、市民(国民)自ら勝ち取ったものです。同様に「自治」もその必要性を感じ取る主体は市民であると思います。

「なぜ自治が必要なのか?」「新城市の将来像は何か?」という基本的な視点を市民の中で醸成する必要がありました。

「自治基本条例を作りました」「自治区を作りました」「自治区に予算を付けました」「若者議会を作りました」「年に一回、まちづくり集会を計画しました」……、「公開討論会条例を作りました」というやり方で、市民の頭越しに進められてきました。

結果、新城市の現場で何が変わったでしょうか?人口減少は、想定以上の勢いで進んでいます。

中心市街地活性化の大号令で進められた補助金事業も成果が上がらず、中心市街地自体が消滅状態になっています。

農林業が大事だと言いながら、具体的に有効な政策は示されず、後継者不足で先が見えない状況です。

自然・歴史が豊富な新城市と言いながら、手を入れていないため、宝であった資源がお蔵入りになりそうな状況です。

これまで、何回も言ってきましたが、「自治」の仕組みを作ることが大事なのではなく、より多くの市民自身が、新城市の将来に責任を持つために、市政に関わることです。市政に関わるときに求められるものが、「自治」という意識です。

まちづくりは行政だけではできません。また、市民だけでもできません。

お互いが責任範囲を明確にして、同じ目標に向かって進むことで、まちづくりは大きく進むと考えています。

穂積市政には、市民に示す目標に具体性がありません。まちづくりは「自治」と言い、市民にお任せでは進むはずもありません。

4期16年の穂積市政の置き土産(もしかしたら5期目もあり?)が、公開討論会条例では悲しすぎます。

公開討論会で、市民の選択の場が広がれば、市民の市政参加が増えるというのはあまりにも短絡的な発想です。

4年にたかだか1回の公開討論会で、どれだけ市政のことがわかるのでしょうか?

4年間、まちづくりに取り組み、悩み、苦労し、問題点を把握した市民であれば、市政のリーダーの重要性にも気付けるでしょうが、蚊帳の外に置かれていた市民では、市政に関心を持てるはずもありません。

「選挙はまちづくり」と出版された本は主張していますが、選挙をまちづくりにするためには、まちづくりに汗を流す市民を増やすことです。

つまり、リーダーがまちづくりの目指す姿を明確に示し、その姿に共感し、共に汗を流す市民を増やすことが必要です。

汗を流した市民は、任期4年の経過・結果を自ら判断できるでしょう。リーダーの是非の判断も自らのものになるでしょう。

その時、公開討論会条例は必要なものになるでしょう。

その前提には、選挙のあり方も大きく現状を変える必要があります。

穂積市長のマニフェスト選挙のやり方ではダメです。マニフェスト選挙で掲げた政策に全面的に責任を持つことが大前提です。

4期目のマニフェストの現状については、現在、行政とのやり取りを進めています。最大の問題だと考えているのは、新城市の課題を解決するための決め手と主張した4つの機構(=エンジン)が止まっていることです。

4つの機構が動くことが前提でなければ、課題解決の動きが出てきません。

現状では、4つの機構を設置することが目的になっています。

「夢」を語るだけのマニフェスト選挙ができないように、市民意識を向上させる必要があります。

さらに、当たり前のことですが、投票の自由を名実ともに保障できる環境づくりが必要です。

市職員であっても、自由に意思表明ができるように。

各種団体・業界・会社のための票工作をする必要がないことが当たり前に。選挙結果で、市からの発注を心配するなんておかしいですよね。

志があれば、誰でも立候補ができるように、金を使う必要がない選挙の仕組みを。

法定選挙費用というものがあり、3年前の市長選ではその上限が約640万円でした。つまり、上限までは使用が認められているために、選挙がお金で左右される面があります。

因みに僕の選挙費用は、約40万円(公費負担約34万円除く)。みなさんが手弁当で手伝ってくれました。

市長選初挑戦の時には、「白井君、お金は用意できた?2000万円は要るよ。」と忠告してくれた人がありましたが、そんな選挙では特定の人しか立候補できないですね。

選挙がまちづくりであれば、次のリーダー選びは、自らの汗で応援したい人を応援するということを当たり前に。

これらの当たり前を実現できるのが穂積市長だったと思います。これまで通りを変えると言って、補助金行政にどっぷり浸かっていた山本市長の後継者を破った人なのですから。

でも、穂積市長の選挙は、従来通りの選挙に戻ってしまいました。市内各地に後援会を作り、政策より地域をまとめることに進んでいきました。選挙母体を見れば、業界丸抱え的な選挙にも見えていました。

「自治」を語り、「公開討論会条例」を作ったと自慢する前に、やるべきことははっきりしています。

誰でもが自分の意志で自由に選挙に参加できる環境を作ることでした。

より多くの市民が、新城市の将来像を実感できる目標を自分事として考え、行動することでした。

「穂積市長、あなたは市長を降りた時、新城市に住むのか?」と問われた時がありましたが、「住む」と答えたことはなかったと思います。

穂積市長が、この新城市を消滅可能性都市から脱却させる道筋を持っているとは思えません。新城市の将来を担う子どもたちに、バトンタッチするという覚悟が見えてきません。

「新城市民に危機感がない」という嘆きの声を聞くことが度々あります。当然です。市政の現状を知らなければ、危機感を実感する前に、あきらめの意識が頭を占めてしまいます。

穂積市長を「自治」のリーダーとする情報発信がありますが、新城市の現状を把握できる人であれば、ごまかしであることが見えてくると思います。

「自治」を語ることは、消滅可能性都市脱却で苦労することより、はるかにたやすいことですから。

「自治」が目的となれば、成果は求められないのです。「自治基本条例を作った」「地域自治区を作った」「若者議会を作った」「公開討論会条例を作った」という実績だけで良いのです。

作った結果、新城市がどの様に変わったのか?市民の意識はどの様に変わったのか?という成果はなくても良いのです。

4期目マニフェストの検証は、僕個人で進めます。近いうちに市担当部局から第二回目の回答が届きます。自己満足の世界の様にも思いますが、ささやかながら今できることです。

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Posted by みちひろ at 08:26│Comments(2)日々の活動
この記事へのコメント
市役所から、1月22日に再質問に対するメール連絡がありました。
内容は、求めた文書回答はしない、口頭回答とし、各担当課に出向いて欲しい、というものでした。
電話で何回も文書回答を求めましたが、担当課で、ちゃんと回答すると言い、文書回答はしないとの一点張りでした。
対応者は、企画政策課の課長でしたが、課長判断の域を越えていたのでしょう。市長判断なのか、部長判断なのかでしょう。
穂積市長4期目マニフェストには、以下のように載っていました。

第一期以来のまちづくりの哲学
住民主役のまち、市民自治が根づくまち
次の3本柱をもって、更なる市役所改革を進めます。
新庁舎で最高の市民サービスを提供します
地域自治や市民活動の広がりを喜びとする職員集団をつくります
市役所自らが企業・創業の精神をもってまちづくりにまい進します

偽りありですね。これでマニフェストを掲げて市長になれるのですから、市長になったもの勝ちとなっていますね。
最高の市民サービスと言いながら、いくら求めても文書回答を突っぱねてしまうのです。
最高の市民サービスを提供する新城市がなぜ、住民投票を求められ、さらに投票に負けるのですかね。
市役所自らが企業・創業の精神をもってと言いながら、マニフェストに掲げた「新城エネルギー公社」「新城公共商社」さえギブアップ状態です。
穂積市長のマニフェストって何なんでしょうね?
これで、なぜマニフェスト大賞が取れるのか不思議です。
Posted by みちひろみちひろ at 2021年01月23日 07:41
緊急宣言が出ているではないか。新城での感染者が40人になった。コロナ感染確認について「市長からのメッセージ」がホームページに載っている。「不要不急の移動や外出の自粛などにご協力いただきますようお願いいたします。」だそうだ。それで「各担当課に出向いて欲しい」とは、まったくバカにしている!

やましいことがあるから文書で回答できないのだ。ブログで公開されて市民に読まれると困るのだ。(白井さんにはこれにめげず追及を続けていただきたい)

「新庁舎で最高の市民サービスを提供します」とは笑わせる。何十億もかけて新築の市庁舎があっても、結局箱モノだけで中身が伴わないではないか。

ぜんぶ我々の税金だ。お金をかけるべきところは、市長がふんぞり返るための市庁舎でなく、市民病院ではないのか。コロナで苦労している商店や従業員ではないのか。
Posted by 一市民 at 2021年01月23日 10:35
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