2018年12月07日

山崎議員に辞職勧告は当然だが?

 今年4月23日、市民1042人の署名を集めた政治倫理違反審査請求書(請求代表者:加藤芳夫氏)が市議会に提出されました。この請求により議員6名(柴田、山口、小野田、浅尾、鈴木長良、佐宗)で構成される政治倫理審査会が設置されました。

 その後約8ヵ月の時間をかけて、審査結果報告書が12月5日、議長に提出されました。中日新聞12月6日付朝刊でも、「山崎議員に辞職勧告を」との見出しで報道されました。山崎議員の政治倫理違反を断定し、辞職勧告が妥当との結論に達したことになりました。

 審査結果報告書は、市議会HPにアップされています。この報告書を読みました。山崎議員の政治倫理違反の判断を簡単に言えば、「2ヵ年においての偽造領収書作成、問題発覚後においても自らの説明責任を果たさないなど、議員として倫理観の極めて著しい欠如」ということになると理解しました。

 しかし、問題はもっと大きなところにあると考えてきました。審査請求理由には、「ホタル再生とは名ばかりで、現実は別の事業を遂行した行為」を挙げていました。この点については、確認できなかったと報告されています。

 僕は、山崎議員の対応の最大の問題は、自治活動交付金という税金を「別の事業を遂行」するために使っていたとことだと考えています。この点をなぜ約8ヵ月かけても明らかにできなかったのかが不思議です。

 行政も議会も、山崎議員の行為が自治活動を根本から揺るがしかねないと危機感を示していました。当たり前のことですが、自治活動交付金は、地域の将来にわたる維持発展のために、地域住民が自らの地域づくりのための活動に充てられる税金です。

 自治活動を根本から揺るがしかねないとの判断を持っていたとしたら、どの点が揺るがしかねないのかという点をもっと掘り下げるべきでした。山田、沢田議員、加藤前議員の調査により、地域活動という名目で、特定組織のために税金が使われたかは明らかになっていました。

 その資料も倫理審査会には提出されていましたし、必要あれば請求者に聞取りをすることもできました。山崎議員の行為は、自治活動交付金のあり方を左右する点を持っていました。自治活動交付請求が、書類だけの審査で、成果を問わない行ったきりの税金使用の性格を持っていたのです。

 今回の事件は、たまたま山田議員が、自分の周辺地域で行われた「ホタル再生」の進展に疑問を持ち調査を続けていたため発覚しただけです。もし、山田議員の調査が無ければ、何の成果も問われないまま、税金は泡と消えていたことになります。

 山崎議員の交付金申請から3ヵ年の交付事業を検証すれば、単に山崎議員の政治倫理違反だけでなく、自治活動の在り方、行政の関与の仕方など、現状を変えなければ達成できない自治活動の在り方が見えてきたと考えます。

 具体的に、経過から問題点を明らかにします。山崎議員が申請した時は、議員ではありませんでしたが、川田総有山林管理組合の代表を務めていました。今回問題になった「ホタル再生」の地は、山崎議員の居住地区でもない堀合地区でした。

 しかし、堀合地区に川田総有山林管理組合の土地があり、その土地に生えていた木が大きく成長し、その処理を求められる状況になっていました。当時、山崎氏は土木課などに相談をするものの私的団体に公的な税金投入はできないと言われていました。

 その頃、自治活動交付金事業が立ち上がり、行政からは「地域活動に結び付ければ公的な支援は可能」との助言を受け、川田総有山林管理組合の土地と近接する「ホタル再生」の本丸「杉川」に目を付けました。

 早速、杉川を抱えている堀合地区を巻き込み、事業申請を行い3ヵ年の事業をスタートさせました。山崎議員は、問題発覚後当初は、事業に積極的に関与していないと、議会内でも説明していましたが、調査すればするほど本人の関与は明確になっていきました。

 行政から事業認定を取り消され、交付金の返還を求められた時、返還の責任を負った3人の内の1人であることからも、本人の関与は明らかです。この点からも、堀合組(もし、事業主体が堀合組であったのであれば返還責任が生じていたはず)は巻き込まれただけで、地域活動交付金事業とは相いれないものです。現時点でも、堀合組のみなさんは、行政からも議会からも相手にされず、憤りを晴らせないままの状態が続いています。

 堀合組のみなさんの声を聞けば、地域がきれいになればとの善意の思いで、「ホタル再生」に協力したことは直ぐに理解できます。しかし、行政も議会も直接、堀合組のみなさんの声を聞くことはありませんでした。これで、「みなさんが主人公」と強調する自治活動と言えるはずもありません。

 また、領収書偽造の件ですが、自治振興事務所は領収書が偽造であることは判断できたと考えています。報告書提出間際に、領収書が無いことを事務所は指摘していました。それが、急に領収書が現れたのです。なぜ、急に払われていないはずの領収書が出てきたのか?事務所は、書類さえ整えばそれでOKなのです。成果は問いません。

 以上から見えてくることは、自治活動交付金事業の問題点です。「ホタル再生」と地域活動の名目を作れば、税金が支払われます。書類が整えば、その成果は問われませんので、事業を中止してもそれでおしまいです。

 全ての交付金事業を否定するものではありませんが、どれだけの事業が地域の将来に光を当てる成果を残しているか?それを見極める必要性を示してくれた事件が、山崎議員の行為でした。この点を曖昧にした政治倫理審査会の結論に疑問が残りました。

 議会としても12月議会で山崎議員に辞職勧告を出すのであれば、倫理審査会が指摘した領収書偽造(おそらく事務所は正式な領収書でないことを理解していたはず)に対して、行政の責任を問わなければトカゲのしっぽ切りで終わるように思うのですが?


文責:白井倫啓

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Posted by みちひろ at 23:16│Comments(9)日々の活動
この記事へのコメント
 東愛知新聞にも出てましたね。山崎議員と関係ある新聞社だそうですが、なんだか生ぬるいというか、偏った記事だなあと思いました。

 「住民団体は両年度の交付決定は市から取り消され、今年4月26日に全額を返還している。」-->団体って、実態は山崎議員とその仲間の3人くらいだけで、返金したのも山崎議員だった、住民は名前を勝手に使われて迷惑して怒ってると聞いたんですが。これだと、住民も不正にかかわってたように誤解されませんか。

 「報告を受け、市議会は12月定例会中に全員協議会を開き、辞職勧告決議案を提出するかを検討する。」--->山崎議員の不正が新聞沙汰になって3月議会でゴタゴタしてたと記憶してます。それから9か月もたって、二十数回も政倫審をやったそうですが、これで辞職勧告決議案が提出されなかったら、新城市議会の権威も完全になくなると思います。機能してないなら、議員全員辞職で解散でも結構です。
Posted by TT at 2018年12月08日 09:08
ご指摘のような文言ですと、確かに誤解されますね。だから堀合組のみなさんが怒っています。この怒りをいつまでも無視している行政、議会に呆れます。

聞くところによると、議会内で政倫審結果報告の是非が議論されているようです。もし、議会に議案として提案されなかったら、政治倫理条例は意味をなさなく成りますね。しょうもない議員がいるようです。都合の悪いことに蓋をしたい行政と議会の癒着があるように思えてきます。杞憂でありますように。
Posted by みちひろみちひろ at 2018年12月08日 22:10
12月の定例会、山崎議員の辞職勧告も気になりますが、定例会の資料の中に「新城市福祉円卓会議条例の制定」という議題がありました。
http://www.city.shinshiro.lg.jp/index.cfm/7,59436,c,html/59436/20181203-171359.pdf

新城市はやたら会議や委員会が多いと思いますが、また新たに会議を作るっていうことでしょうか。同じような顔ぶれの市民が担ぎ出されているみたいだし、職員の仕事は増えるだろうし、こんなことに税金を使うのも納得できません。会議を作ることが目的になっていて、現実に市が良くなってるという実感がぜんぜんないんですが。

あと、議員は18名いますよね。議長は定例会で発言できないと思うので、17名が発言できますよね。12月定例会一般質問通告者順序表に15名しかないんですが。
http://www.city.shinshiro.lg.jp/index.cfm/7,59486,c,html/59486/20181206-155206.pdf

ということは、2名(名簿で見ると、柴田議員と村田議員)は年に4回しかない定例議会で一つも質問すべき懸案がないということでしょうか。議員の重要な仕事だと思うのですが。

村田議員は副議長ですが、副議長は質問はできないという決まりでしょうか。柴田議員は山崎議員の政倫審で委員長をやっていたらしいですが、そんなの言い訳にならないのではないかと。私が何か見落としてるでしょうか。てっきり議長以外は議員全員が質問に立つものと思っていたので、もしできれば教えてください。
Posted by 疑問だらけ at 2018年12月15日 10:39
合併から13年が経ちました。やるべき事をやらないことを、円卓会議などでお茶を濁すしかないのでしょう。審議する議員が怒らないことにも呆れます。何も変わらないでしょう。ご指摘のように、同じような顔ぶれが並ぶだけでしょう。

一般質問の迫力のなさに呆れています。そもそも議員の中に新城市の将来像を描ける議員がほとんどいないのです。今の一般質問レベルは、思いつきのレベルと言っても言い過ぎではないでしょう。なぜ、市長とガチンコ勝負を求めない議員がこうも多いのか不思議です。

一般質問もしない議員は、尚更議員としてふさわしいとは言えません。
Posted by みちひろみちひろ at 2018年12月16日 21:06
政倫審について、浅尾議員のブログに議会運営委員長宛ての公開質問状が載っていました。政治倫理条例の改正案が出されるらしいのですが、対象議員の措置が緩くなるとか?、議員が政倫審を請求する場合に、これまでは12分の1でよかったのが8分の1の議員が必要になるとか??、なんかおかしいと思いませんか。規律を緩めるような、問題を起こす議員を甘やかすような感じがします。議会改革とやらはどこへ??

新城市議会、いったい何のために存在しているんでしょうかね。市長の御用聞きでしょうかね。ほとんどは議員の自覚がないんじゃないでしょうか。そういう議員に投票する市民にも問題があるとは思いますが。

あの市長に、この市議会、無駄な事業だらけで職員も多すぎる市役所。自分の市を悪く言いたくありませんが、このままでは新城はもうダメじゃないでしょうか。どう考えても消滅可能都市には身の丈に合わない新庁舎を見るたびに、ため息が出ます。
Posted by 師走 at 2018年12月20日 06:18
本当に困りますね。せっかく作った政治倫理条例も骨抜きになりかねません。議会改革も何のために必要かということが、議員の共通認識になっていませんので、改革は自分ができる範囲での改革(改悪)になるでしょう。

一年前の議会選挙前の議会改革検討会議(僕が副委員長)で、全国の議会改革の先進議会の事例を検討しました。そして、議会基本条例の大幅な変更をまとめました。検討会議の総意として議長に報告されました。これで議会のあり方が変わると期待しました。

しかし、どんでん返しがありました。変更結果がそのまま議会改革検討委員会(正式に議会に設置されました。)で了承されれば、議会基本条例により議会のあり方が変わったはずでした。

結果は、再検討を要すとなり、次期議会検討になってしまいました。議会の過半数を超える議員がまとめた検討会議報告書さえ無視してしまいました。新議会になって議会改革は進んだでしょうか?否です。ご指摘のように、いったい何のために存在しているんでしょうかね、ということです。
Posted by みちひろみちひろ at 2018年12月20日 06:50
東日本大震災で壊滅状態になった宮城県女川町長の対談(今月行われたもの)を読んで、「新城市政にビジョンがない」という意味がやっとわかった気がしました。

特に印象に残ったのは、この部分です。

「最初に町の絵を描いた上で、そんな町にすべく何をどの順番にやっていくのかということですね。巨額を投じてつくったインフラが20年後に陳腐化していれば話にならないわけで、20年後にも通用するような町の姿と構造と、その上に乗る仕組みもちゃんとつくっていきたい。町の中心に病院があって、公共動線は病院と駅、学校、町広場。この4施設の一時利用者、つまりここに残っている人間だけでまちのへそに年間20万人の流れが確実にできる。」

新城では、10年以上も市民病院が機能していない、新城駅周辺は寂れる一方で、学校は廃校つづき(人口減でしょうがないにしても、対応策が行き当たりばったり。たとえば新城東高校の跡地は? 作手で通学に一時間以上かかるようになった子どもたちは?)。

新城に町広場なんかありますか。市民が自然に集まる「まちのへそ」は、むかしはあったかもしれませんが、今はないでしょう。

本気で「町の絵」を描いていたら、あの場所にあんな市庁舎は建てないでしょう。

女川町が若者世代と年齢に関わらずいろんな考えを取り入れようとする本気の姿勢を知ると、新城の若者議会が学芸会レベルに思えます。新城ラリーやアライアンスやお仕着せの地域自治というパフォーマンス市政では、「20年後に通用するような町の姿と構造」は無理でしょう。
Posted by 通りすがり at 2018年12月28日 01:43
通りすがりさんへ。

もっともな視点です。なぜ選挙で選ばれた議員が、このような視点を持てないのか不思議です。行政がダメなら議会がと思いたいのですが、残念ながら議会と市長に緊張関係は希薄です。

現状は、目先の損得ばかりで、ビジョンを示すべき人が、その責任を果たしていないことは明らかです。しかし、市長、議員を選挙で選んだ
市民こそが変わらない限り、何も変わらないことも明らかです。
Posted by みちひろみちひろ at 2018年12月30日 19:41
山崎議員に対して正式に辞職勧告が出されてから4か月経ちましたが、その後市民に釈明謝罪説明したという話を聞きません。あのまま新年度になっても、議員をしているのでしょうか。そして議員手当が払われているのでしょうか。

議会が全員一致で出しても「勧告」なので、強制力はないそうですね。でも、不通の会社ならクビになるような不正行為をした人が平然と議員の座にしがみついているなんて(しかも自分は無実で誰かにはめられただけだとチラシを配ったとか)、どこまで新城市民をバカにすれば気が済むのでしょうか。

住民が署名集めをして政倫審が開かれました。でも、住民が山崎議員の辞職要求のために集めなければならない署名は相当多いと聞きました。そんなことはできないだろうと山崎氏(こういう人物を議員とは呼びたくない)はたかをくくっているのでしょうか。

山崎氏個人にも新城市議会にも幻滅です。新城市長の市政にもまったく希望が持てません。新城は悪くなるばっかりです。
Posted by 川田 at 2019年04月23日 23:00
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